顎関節症治療における触診とソフトスプリント調整実習

2025-11-02 43:39 seminar

顎関節の動きと病態理解

  • 顎関節の運動方向とロック
    • 矢状方向の動きを理解する。
    • 真っ直ぐ開く際に特定の方向へ逸れるのは異常である。
    • 「関節円盤が全部転位している側に、グーって行って、円盤が、ディスクが乗りましたってことは、普通の3Aは、こう動いてって、こうなるんですよ。だから、こういって、こんなことって起きないんですよ。物理的に。」
  • アーリーとレイト
    • ロックが早期に起こるか(アーリー)、晩期に起こるか(レイト)は診断において非常に重要。
  • 臼歯欠損とバーティカルストップ
    • 臼歯欠損があるとバーティカルストップ(垂直的な支持)がなくなり、関節に負担がかかる。
    • 例: 左の4567番欠損を想像すると、バーティカルストップがないため、顎が左にロックしやすくなる。
    • これは関節空隙がなくなることで発生する。
    • 「関連ない補綴と欠損状態は一緒ってことです。」

筋触診の実習と評価

  • 痛みの評価基準
    • レベル1: 少し痛い
    • レベル2: 痛い
    • レベル3: すごい痛い
    • 星マーク: 飛び跳ねるほど拒否反応が出る痛み
  • 咬筋の触診
    • 手順:
      1. 患者に軽く噛んでもらい、咬筋の起始(頬骨弓)と停止(下顎角)を触知する。
      2. 強く噛んでもらった際に盛り上がる部分を確認する。
      3. 指の腹で触診し、痛みがあるか確認する。
      4. 圧迫の目安は「半紙くらい」(強すぎる圧迫は筋膜が勝ってしまう)。
    • 乳酸が溜まっているコリコリした箇所をピンポイントで触診することが重要。
  • 側頭筋の触診
    • 手順:
      1. 手の腹を扇状にして、側頭筋の位置(眼窩の後ろから後方部)を確認する。
      2. 患者に噛んでもらい、盛り上がる部分(一点と後方部)を触知する。
  • 顎二腹筋の触診
    • 手順:
      1. 患者に上を向いてもらい、頭を左右に傾けてもらう(例: 左を向くと右の顎二腹筋が触れる)。
      2. 下顎角の裏に指を置き、盛り上がってくる部分を触知する。
      3. この筋肉は口を開ける時に作用するため、患者に口を開けさせながら触診する。
    • 「筋肉は作用させている時に痛いんですよ。」

ハイパーモビリティ(過剰可動性)

  • 特徴と危険性
    • 関節が過剰に動きすぎる状態(柔軟性が高い)。
    • ハイパーモビリティの先には脱臼がある。
    • 人体(靭帯)の規制が効かない状態。
    • 患者への指導:「絶対に大きく口を開けないこと」「45ミリ(指3本分)が限界」。
    • 「毎日柔軟体操している人は1日でもサボれば固くなります。なので先生も毎日柔軟体操を僕にしてるんだから、まず今日からやめれば明日から…」
  • 関連する病態
    • IMMEDIATE LATERAL SHIFT (ILS) のルーズニングが激しい。
    • 横ぶれがものすごく、骨折の原因になることもある。
    • 科学頭の対向性変化、関節結節の吸収、人体が緩むなどのパターンがある。
    • ベネット運動における咬頭接触点(ベネット三角)の動きが全部できてしまい、その部分が平らになってしまう。
  • 「ハイパーモビリティはマジで見ないですよね。いっぱいいますから。」

ソフトスプリントの調整と装着実習

  • 調整の基本
    • 目的: 咬合接触点を変更し、顎関節と筋肉への負担を軽減する。
    • 手順:
      1. ソフトスプリントを装着し、奥歯でしっかり噛んでもらう。
      2. 最初はスプリントをフラットな状態にする(例: 26mm程度)。
      3. 上顎の場合、内側を凸の形態にすることで、下顎の機能咬頭が中央に入ってくるように調整する。
      4. 前歯は印記がつかない程度まで落とす(全くのオープンは避ける)。
      5. 臼歯(4番から7番)は接触させる。
      6. 早期接触がある場合は、その部分(例: 3番、6番の特定箇所)を落とす。
      7. 患者の症状に応じて、左右の高低差をつける(例: 左側を高くする)。
  • 装着後の評価
    • スプリント装着後に顎関節の動き、筋肉の硬さ、痛みがどう変化したかを確認する。
    • 「めちゃくちゃ緩んだの分かります?自分で触ってみてください。硬さが変わったの分かります?全然手が…」

スプリント治療の継続と次のステップ

  • 装着時間の目安
    • 「飲食以外の時間は、ずっとつけられるものなので、なるべく使ってください。」
    • デスクワーク時や家事中など、可能な限り装着を推奨。
  • 治療の流れ
    • まず顎位(顎の位置)を元の状態に戻すことを目指す。
    • 次のステップとして、噛み合わせの調整や矯正治療へ進む。
  • 質疑応答
    • (参加者): 早期接触があれば、本当にアディング(盛り足し)ではなく交互調整で良いのか?
      • (講師): 「その場合は交互調整。よく西川先生がやってるやつは、例えばシークエンシャルの場合に考えたかったので、アディングってあんまり触ってこなかったので。」
      • (講師): 「例えば右3Aの時に、抜いてあげてプレッシャーポイント外してあげますから。」
      • (講師): 「こっちが噛んでなかったら、本当はこっちにアディングしてあげればいいけど…これの異常がない人の場合に、左を交互調整で…いい位置で出してる7番がもう大丈夫…そういうことです。そういうことです。よくそれがシークエンシャルというところの…一緒です。順次2回交互で…7のリリリースしてあげればよかっただけなのに…7の咬頭を前落としするから問題が起きる。」
    • (参加者): スプリント調整でまだ変位量が変わらなければ?
      • (講師): 「まだ変位量が変わっていなければ、もう少し高低差をつける。すなわち、そっちの方が関節空隙がもっと広がる。」
    • (参加者): 開きすぎないか?
      • (講師): 「開きすぎなんですけど。それで、開かなくなります。開かなくなる。」